仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「恋愛少女漫画家」 一条ゆかり

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少女漫画の大家 一条ゆかりさんのエッセイ。

一条ゆかりはいかにして出来上がったか」という自身の半生記のような内容。

  「生いたちの章」「青春の章」「恋愛の章」「仕事の章」に分かれています。



 「生いたちの章」を読むと、ハングリー精神、バイタリティがいかにして
養われたかがわかります。


 「青春の章」は、漫画家になった初めのころのエピソードが書かれています。
向上心の強い努力家だったんだということがよくわかります。

所属雑誌の編集部のデザイナーさんの押しかけ弟子になって、
カラーイラストの技術を教えてもらうくだりがおもしろいです。

一条さんのすごい所の一つは、何十年も漫画家やってて
絵が上手くなり続けていることです。
ベテランの作家さんはどこかで絵の変化を止めてしまうか、または変に(下手に?)
なっていってしまうかが多いように思うのですが。
 カラーイラストのセンスの良さは芸術並みだと思っていましたが、その秘訣がわかりました。
数ある漫画家さんの中でも「センスが良い!」と言える人は意外と少ないです。


初期の代表的名作の「砂の城」を描いていた時の心境なども興味深いです。




 「恋愛の章」では、結婚して離婚したエピソードなどが書かれています。
担当の編集者と結婚したこと、当時のマンガのあとがきなどに描かれていたなあと
懐かしい。
編集者と結婚して離婚した大物漫画家っていうと、他にはさくらももこさんがいましたね。



 「仕事の章」は、全体のまとめになっています。
「これからのテーマは生涯現役」「目指すは、匠!」と語っています。

「一つの芸を極めて本当の匠と言えるまでに、四〇年はかかると思ってたんです。それで
 四〇年たったんだけど、どうも・・・自分が「匠」になったなという実感がまだ無いです。」
なるほど一条ゆかり氏はプロ根性のある職人さんなんだと感服しました。
同性として見習っていきたい後ろ姿です。