仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「クリスマス・キャロル」  チャールズ・ディケンズ [イギリス]

文豪ディケンズの有名なクリスマス・ストーリー
1873年に出版
 
 ロンドンの商店主のスクルージは、守銭奴、冷酷、利己主義、強欲、人嫌い、偏屈と誰に聞いても
 悪い評判しかないクソジジイ。誰もがやさしい気持ちで幸せな一日を過ごすクリスマスの日にも、
 スクルージは変わらぬ態度で、食事へ招待しに来た甥に対してクリスマスをののしってみせる。
 クリスマスの前夜、自宅に帰ったスクルージの前に7年前に亡くなった共同経営者の
 マーレイの幽霊が現れる。幽霊は、生前の悪行の報いで苦しみ続けているのだといい、
 スクルージに同じ道を歩ませぬために三人の精霊が訪れることを告げる。
 
 
外国の古い小説らしく、おおげさで修飾の多い文章で
現代小説を読み慣れた人にはクサく感じるかもしれませんが
そこがまた文学の味かなと思います。
 
クリスマスの街の様子や家庭の雰囲気がよくわかります。
キリスト教国の本物のクリスマスはやっぱり違います。
 
 
スクルージの下に現れる三人の精霊は、
「過去のクリスマスの精霊」「現在のクリスマスの精霊」「未来のクリスマスの精霊」といいます。
一人ずつ順番にやってきて、スクルージに関わる過去・現在・未来を見せます。
精霊は逆らいがたい迫力をもっており、さすがのスクルージもひれふします。
 
「過去」はスクルージの子どものころの場面で、
幸せな子ども時代ではなかったことがわかります。
 
「現在」では、スクルージの周囲の人々、甥や部下のボブの家庭に飛んでいきます。
それぞれクリスマスのお祝い中で、他の人からは見えないスクルージ
家庭の団らんをいっしょに楽しみます。
 
「未来」では、あるクリスマスの日一人の男が死んでいます。しかしそれを悲しむ者は
一人もおらず、死人のベットから身ぐるみはがして古道具屋に売りに出される始末でした。
 
 
スクルージは、今の自分がどのような未来を迎えるかを悟り、震え上がります。
三人の精霊との旅を終えた後のスクルージは、それまでの彼とは違う人間になったのでした。
 
 
 
 
クリスマス・プレゼントにぴったりの、心温まる物語です。