『フラワー・オブ・ライフ』 よしながふみ
白泉社漫画文庫から出ています。
とある高校を舞台にした学生青春マンガ。
といっても、よしながふみ作ですから、同級生と恋に落ちてドキドキとかいうスタンダード路線ではありません
ちなみにゲイネタはまったく出てきません。
1年D組に一月遅れで入ってきた花園春太郎は、白血病のため一年休学していた。
ぬいぐるみのようにかわいい三国翔太と仲良くなり、オタク真島のいる漫研に入部する。
顧問は担任の斉藤滋。個性豊かなクラスメイト(+教師)たちとのきらめく高校生活が
始まった。
キャラがたってる登場人物がそろっていて楽しいです。
主人公春太郎は、クラスでの最初の挨拶で「白血病だった」ことを宣言するような
率直で明るい性格。
これは彼の家庭のカラーによるもので、男気好きの父ちゃんの影響大。
ひきこもりのねーちゃんさくらもかわいくて良い姉。
善良でかわいい翔太、オタクの権化真島や、個性豊かなクラスメイトたち。
担任の滋(シゲル)はオカマ風味の女教師で、同僚の数学教師と不倫中。
ストーリーは高校生の日常を描いたもので、
どこの学校でもありそうなエピソードがいっぱい。
高校生特有の心理の動きも細やかに描かれていて、
自分の高校時代を重ねて、笑ったり痛い所をつかれたりと共感しまくりです。
担任シゲルは、チャラいおふざけ教師に見えながら、
悩める春太郎に鋭いアドバイスをしたりと教師らしい顔を時折のぞかせます。
全体としてはコメディタッチなのですが、所々にリアリティがあるところが
ストーリーに深みを与えています。
クライマックスは、春太郎が自分の病気の真相を知る場面です。
「隠し事は嫌い」
それが彼のポリシーで、彼の家のモットーだったのに
親自らがそれを破っていたことを知ります。
自分の親をそれまでとは違う目線で見るようになり
初めて友達に言えない秘密を持つことになった春太郎が
二年生の春を迎えた所で、物語は幕を閉じます。
人間の細やかな心の動きを鋭くとらえる洞察力、
それを独創的な構成で、画面に描き出す表現力。
やっぱりよしながふみはすごい作家です。