仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

『海街diary』シリーズ  吉田秋生  [小学館]

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小学館の雑誌「月刊flowers」に掲載の‘家族’を描いた短篇シリーズ
 
現在  1巻「蝉時雨のやむ頃」   2巻「真昼の月」    3巻「陽のあたる坂道
まで出ています。
 
 
舞台は鎌倉の下町(名前は海街となっています)
極楽寺の辺りのようです。
 
 主人公は、古い家に住む姉妹たち。
 長女 幸、次女 佳乃、三女 千佳
 両親が離婚し、それぞれ再婚したため
 母方の祖母と暮らし、祖母の死後は姉妹三人で暮らす。
 
 成人してそれぞれ働いている三人の下に
 音信不通だった父の死去の知らせが届く。
 父が暮らしていたという山形の田舎町へと向かった姉妹を出迎えたのは
 腹違いの妹、中学生の すずだった。
 
 葬儀の後、三姉妹はすずを引き取ることに決め、
 四姉妹での鎌倉生活が始まる・・・・。
 
 
 
文学的な名作です。
登場人物たちの繊細な心理のとらえ方、表情の描き方、
季節の移り変わりの描写など、素敵です。
 
非常に映画的な作品だと思います。
鎌倉という歴史ある街を舞台にして、作品全体の雰囲気を作っている所や
人物の微妙な心理を描写する時の切り取り方、
何より、人の表情を描く時の画面構成がまさしく映画的なコマ割りです。
 
邦画の名作がお好きな方にぜひお勧めしたい作品です。
芸映画の名監督に映画化してもらいたいものです。
 
 
 
ストーリーは、四姉妹のそれぞれの日常を描いたもので
特別な大事件は起きません。
四姉妹はそれぞれ個性的で惹きつけられます。
 
末の妹 すずちゃんは、母の死、父親の再婚、父親の看病・死去
と苦労の多い生いたちながら、素直なしっかり者です。サッカーの名選手。
心に傷を持ちつつも、たくましく成長しています。
 チームメイトに恋したり恋されたりの辺りの描写が胸キュンです。
少年少女たちの青春に、望郷の念を覚えます。
 
長女 幸は、看護師を勤める姉御肌のしっかり者。
父親の葬儀・法事の時のトラブルへの対処は、鮮やかでほれぼれします。
反面、母親への屈折した感情や不倫の恋人のことで悩むこともあります。
 私はこのおねえちゃんが一番好きです。
 
次女 佳乃は、おおらかで酒豪でちょっと男にだらしないという
銀行員らしからぬキャラ。
彼女が幸せをつかめる日はいつ?
 
三女 千佳は のんびりした天然キャラ。末っ子っぽいです。
アフロヘアがトレードマーク。地元スポーツ店に勤務。
アフロ店長との仲はどうなるのでしょうか。