仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「とりかえばや物語」

平安大貴族の娘と息子が性別を取り違えて成長し、苦労の末に本来の性に戻り
栄達し幸せに暮らす、という奇抜な物語。
 
氷室冴子さんが「ざ・ちぇんじ」というタイトルで小説化し、
それをさらに竹内直実さんが漫画化しています。
氷室さんはさすがに少女向けに甘い脚色をしていたんですね。
原作はなかなかイカガワしいストーリーです。
 
 
 
 時の権大納言には二人の妻がいた。妻にはそれぞれ息子と娘がおり、よく似た美しい子供だった。
 しかし、若君は女の子のような、姫君は男の子のような生まれつきだった。
 年頃を迎えてもその性行は変わらず、姫君は元服し宮中に出仕することになり、
 若君は尚侍として宮仕えすることになった。
 姫君は順調に出世し、妻を迎える。若君は女東宮に親しく仕えている。
 
ある時とうとう二人の生活は行き詰まり、姫君は行方をくらましてしまうのですが、
ストーリー上のキーパーソンは宰相の君という人物。当代の帝のいとこにあたり
才にも優れ、宮中では姫君につぐ若手のホープです。
 
この宰相、たいそう色好みで女に手をだしまくりです。
親友ともいうべき姫君の妻を寝取り、姫君の妹(弟)である若君(尚侍)にも手をだそうとし
その上はずみで男同士のはずの姫君を襲ってしまいます。
めちゃくちゃ不倫な人間関係です
 
姫君が女であることを知った宰相は喜んで妻にしようとします。
思い悩む姫君に向かって宰相は
       「これも全て前世の因縁なのでしょう」
と言います。
なんて便利な言葉なのでしょう・・
私もどこかで使いたい。
 
 
姫君の男装生活の描写はなかなかリアルです。
月に一回数日は物忌みと称して、乳母の家に閉じこもったりします。
宰相の子供を妊娠してる時「右大将の出産が近づき・・・」
とかいうのが笑えます。
 
 
 
 
若君は若君で、女同士(ということになっている)をいいことに添い寝したりして
お仕えしている女東宮を妊娠させてしまいます。
 
姫君が宰相との子供を産んだ後、姫君と若君は入れ替わります。
姫君は帝の寵を受け、親王を産み中宮になります。
若君は何人も妻を持ち、大臣にまで出世します。
 
諸悪の根元の(笑)宰相は、姫君に逃げられて傷心したりもしますが
若君の妻の妹と結婚して
最終的には全員めでたしめでたしです。
 
 
 
 
波瀾万丈のストーリー展開で、月9ドラマもびっくりです。
昼メロ帯あたりでドラマ化したら受けるんじゃないでしょうか。
腐女子系をねらって映像化してもいいかも。
 
谷崎潤一郎永井荷風がお好きな方なども
意外と楽しめるかもしれません。