仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「山頭火 漂白の跡を歩く」   [JTBキャンブックス]

自由律俳句で有名な 種田山頭火 の人生と俳句を紹介した本です。
JTBの本なので、旅行ガイド的です。
 
自由律俳句は、山頭火と尾崎放哉が有名ですが、
規格外のもので名をなしただけあって、両人とも満たされない人生の
人だったようです。
 
山頭火は地方の名家に生まれましたが、素行不良の父、家の没落など苦難の多い人生です。
一番衝撃的な出来事は母の自殺で、生涯そのトラウマから立ち直れなかったようです。
 
 
昔、自由律俳句を見たとき「五七五」でないなら
俳句と定義づけられるのか、なんでもありじゃん、と思いましたが、
たくさん読むとなんとなく「俳句である」ことがわかるような気がします。
 
しかし、型を破った上で「俳句」であるためには、内容の深さが必要であってかえって難しく
自由律俳句が一般化しないことがうなずけます。
 
 
 
印象に残った句をいくつか
 
   分け入っても 分け入っても 青い山
   
   鴉鳴いて わたしも一人
             尾崎放哉の「咳をしても一人」に対応しているそうです
 
   まっすぐな道で さみしい
 
   どうしようもないわたしが 歩いている
   
   うしろすがたの しぐれていくか
 
   笠へ ぽつとり 椿だった
 
   さくらさくら さくさくら ちるさくら
 
   ふるさとの 言葉のなかに すわる
 
   寒い雲が いそぐ
 
   鉄鉢の中へも 霰
 
   ふくろうはふくろうで わたしはわたしで ねむれない
 
   てふてふ ひらひら いらかをこえた
  
   こころ おちつけば 水の音
  
   もりもり もりあがる雲へ 歩む
 
   ふまれてたんぽぽ ひらいてたんぽぽ
 
   飲みたい水が 音たててゐた
 
   春の山から ころころ石ころ