「西原理恵子の‘あなたがいたから’ 運命の人 鴨志田穣」
NHKのテレビ番組を書籍化したものです。
語ったドキュメント番組でした。
鴨志田氏は戦場カメラマン
アルコール依存症で、そのため西原さんは息子と娘がいながらも
離婚にふみきりました。
鴨志田氏はガンで亡くなりますが、死の前には家族4人の暮らしに
戻ることが出来ました。
西原氏の家族のエピソードは数々の作品で語られていますが
ユーモアでくるまれることのない、素の歴史は
想像以上にシビアです。
これを笑いで語れる西原氏は本当にすごい。
マンガの中ではお子さんの名前は出てこないのですが
この本では実名で語られていました。
西原理恵子氏のファンで、その人間像をよく知りたいと
思う方にはお勧めです。
ただ、西原氏の作品を純粋に楽しむためには
どうでしょうか。
「厳しい現実も笑いで乗り越える」
ということが夫妻のポリシーであり
西原氏の作家としての姿勢であるように思います。
だから読者として‘正しく’その作品を楽しむためには
ドキュメントの形でとしてストレートに事実を知ることは
さけた方がよいのかもしれません。
私はもともと好きな作家の履歴を知るのは好きじゃないんですけどね。
作家はだれでも自分の実人生を土台にして創作を行うものだと思いますが、
ストレートにそれを知ることは舞台裏をのぞくようで興ざめするのです。
実人生を語るならば、そのまんまエッセイ、ドキュメントでいいじゃないかという気がします。