『まんが親』 吉田戦車 [小学館]
「ビックコミックオリジナル」の連載中の育児エッセイ漫画
(妻は、同じくギャグ漫画家の伊藤理佐さん)
女性が描く育児漫画は無数にありますが
男性は少数なのは、育児に常に関わる男性が少ないのと
男性は日常的な出来事を観察して描くのが苦手だからだと思います。
自宅勤務で、細かい観察眼を持つギャグ漫画家である吉田氏は
数少ない育児漫画を描く才能を持つ男性なのかもしれません。
描き方もさらっとしていて客観的な所がいいですね。
女性作者だと、どうしても母性愛が先に立って
甘甘なムードがぬけず、娯楽作品になりきらない所がありがちなのですが。
隠しコマンドがあるような気がして、表紙をはがしてみたら
ありました。赤ちゃんの写真。
なるほど「いい足」でした。
赤ちゃん(娘)の絵も、親ばかフィルターのかかっていない
写実的?な造作です。
エピソードの中には、さすがに親ばかモードが入ったものもありますが
それを自覚して描く所が、すがすがしい。
(私は、赤ちゃん写真の年賀状を微笑ましいとはあんまり思わないようなタチなので)
お父さんの脱ぎ捨てたスリッパを届けるのが日課の娘ちゃん。
(あわてる水虫父)
日常の何気ない行動がリアルに描写されてます。
赤ちゃんって素でかわいいから、ことさら演出しなくていいですよね。
夫妻の見解の相違(男と女の溝)が描かれているエピソードは興味深いです。
立ち会い出産を激しく拒否する妻:伊藤。
私、まったく同感です。
これは、吉田氏の赤ちゃんのあやし方が真剣じゃない、と非難する妻に対しての反論。
私、吉田氏に同感です。
育児は母親中心であるのが通常だと思っています。
出産も授乳も男性には出来ませんので。
ついでに家事も下手(な人が多い)だし。
私はジェンダー思想を重視してません。
男と女が同じ訳ないし。
生物的には女が優れてるんだから、実害のない所では
いばらせておけばいいのでは、と思っています。
もちろん社会的に女性が不利益をこうむる差別は是正すべきだと思いますが。
育児と仕事の両立については、働いてお金を稼ぐことと、人間を一人育てることに
価値の差はないと思うので、
女性に比重がかかることを女性差別と決めつけなくて良いと思います。
(家庭内の家事分担は、各ご家庭の問題と思いますが)
知人の、性教育に一家言ある女性が言っていました。
「男性はもともと弱いから、女性がたてまくってやっと一人前」
妻伊藤さんは、夫の育児参加ぶりに
まだまだ不満があるようですが
世間一般の夫族にくらべれば、かなりマシなようにお見受けします。
妻が撮りためた赤ちゃん動画を編集している時の吉田氏の感想。
「過去を編集するために今をつぶす、人生のムダ」
これも私、きわめて同感です。
だからカメラもビデオカメラも持ってません。
小学校の運動会でグラウンドにまではいりこんでビデオ撮影する親を見ると
つくづくそう思います。
ファインダーごしじゃない、生の子供の姿を見ながら声援する方が
子供のためになると思うのですが。