仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「女は見た目が10割」  鈴木由加里   [平凡社新書]

副題は「だれのために化粧をするのか」
 
タイトルを見て「むかっ
っとくる方もいると思いますが
これは逆説的につけられたもので
論旨とは異なります。
むかっとくる方にこそ、お勧めしたいです。
 
 
筆者は、現代文化論が専門の大学講師の女性。
文章は、学究的専門書としてはエッセイに近い文体なので
読みやすいです。
 
学問書と呼ぶには客観性、検証性がやや弱いかなと思いますが、
読み物的な感覚で楽しめました。
 
 
 
感想を一言でいうと
          「この人(=筆者)、好きだなあ」
 
すっごく鈴木氏に共感できました。
日頃、自分の中でなんとなく考えていた事々を
言語化してまとめてもらって
すっきりしました
 
 
 
「まえがき」から引用します。
 
読者の年齢層いかんにかかわらず女性誌は「キレイ」になる特集を組み、NHKでさえメイク法を指南する番組を作っている。
「オバサンなんだからオバサンとして認めてほしい」という弱音を吐けないような雰囲気が社会全体を覆っているような感じがするのだ。
「いつも、いつまでもキレイを目指しなさい。女を捨てたら貴方の人生は終わり」というメッセージがひしひしと感じられて、化粧をすることもおしゃれをすることも素直に楽しめなくなっている自分に気がついたのである。

本書は、素直にキレイになることを楽しめなくなっているが、さりとて「キレイ」を目指すレースからも降りることができなくなっていることの背景に何があるのか、女性たちと「キレイ」の関係はいったいどうなっているのか、ということを考察したものである。
 
 
 
 
 
今、流行っている言葉で嫌いなものの一つに「美魔女」があります。
「40代なのに20代にしか見えない」とか
「美しさ=若さ」と規定しているあの思想が嫌いです。
ある意味、完全な自己否定ですよね。だって本当は若くないんだから
 
4、50代まではなんとか勝負できてても
いつかは加齢に降伏しなきゃいけなくなるはず。
その時にこの方々、アイデンティティが崩壊しちゃわないか心配ですねえ。
 
 
 
 
私も自分の身なりにはこだわる方です。
でも主目的は男性ウケではないですね。
趣味嗜好として「美しいもの」を愛しているので
自分自身がみっともないのが許せないというのが一番かな。
 
 
一般論として、女性が美にこだわる理由の根本は
生物学的なことかなと、とらえています。
植物でも動物でも、繁殖のために
雌は見た目で雄を惹きつけるように出来ていますから。
 
そういう意味では、繁殖適齢期を過ぎたら
女性が美にこだわる必要性はなくなるのですが
現代の風潮がそれが許さない所が
女性にとってはしんどいのかな。
 
 
 
自分としては、何歳になっても美にはこだわりたいと
(今の所)思っていますが
目指すのは美魔女ではなく
品の良い老婦人です。