仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「できることから」     小堀貴美子   [講談社]

副題は「遠州茶道宗家、ゆっくり奥様修行」
 
著者は、遠州茶道 宗家 十三世家元 夫人
 
遠州茶道は、江戸時代の大名茶人 小堀遠州を祖とする流派です。
 
小堀に嫁ぐことになったいきさつから始まり
十八年の結婚生活の中での家元夫人修行についてつづられています。
 
 
 
貴美子氏は、日本の一般的な家庭に育ち、
アメリカ留学の後、外資系企業に勤める
という伝統文化には縁のなさそうな経歴の持ち主。
 
本格的に茶道を始めたきっかけは
留学中に自分自身が日本文化を知っていないことを痛感した
ことだそうです。
そこで通い始めた教室で、ご主人と出会ったとのこと。
 
 
ごく普通の家庭のお嬢さんが家元に嫁ぐなんて
考えただけビビリそうですが
そんな気負いも感じさせず
朗らかに奥様修行を語っています。
 
 
一般の家庭の出だけに
伝統文化に向ける視線もフラットで
伝統を担う家の方が書かれた文章にありがちな
説教くささがなく、楽しく読めます。
 
 
家元夫人としてだけではなく
妻として母としての目線の文章もあり
ふんふん、という気持ちで読みました。
 
 
 
 
 
若いころは、生まれたときから、選択の余地無く人生を決定づけられている立場
というものに反発を感じたものですが、
年をとるとともに
個人の自由よりも重いものを受け継いでいく家というものに
尊敬の念を覚えるようになりました。
 
 
貴美子氏はそのような立場であるご自分について
押しつけがましくなく語っています。