「自分を生きてみる ~一期一会の心得~」 千宗室 [中央公論新社]
講演会を記録した章もあり、優しい語り口で理解しやすい内容です。
茶道の知識がなくても大丈夫です。
茶道論ではなく、茶道を通して
人の在り方、生き方を語っている内容です。
私は茶道に興味があり
関連の本も時々読んでいますが
それは資格や技術を習得したいからではありません。
茶道から得られるものを、普段の生活で活かしたいからです。
本(著者)によって内容はさまざまですが
茶道=芸術=高尚 的な、上から目線のものは
けむたくて読むのを止めてしまいます。
この本は、私の希望をストレートにかなえてくれている一冊です。
語られていることで
「うんうん」とうなずきたくなることはたくさんあります。
形式に縛られている自流の在り方を変えるために
道具の「箱書き」という慣習の強制力を無くすように計らったり。
家元という立場だからこそ難しいことではないでしょうか。
お茶のやり方も「基本をふまえた上で、臨機応変に」
のように言われていました。
ひざの悪い人のために、正座イスを使った茶席を
提案されたそうです。
立礼式(テーブルの茶席)を発案したのも
裏千家です。
茶道を離れた、生活や人生の在り方についても
含蓄の深いお言葉がいっぱい。
「国際人とは、自分の国の文化をよくわかっている人間のことだ。」
「一人称(自分中心)から二人称(自分と相手)、そして三人称(みんなの中での自分)へと
人間は成長していかなければいけない」
また読み返してみて
いろいろ考えてみたいと思います。