「岡本綺堂」 [ちくま日本文学全集文庫]
「半七捕物帳」が有名な時代小説家
初めて読みましたが
元岡っ引きのじいさまが、
明治に入ってから江戸末期の自分の捕り物の回想を
知人に向かって語るという設定なんですね。
そのせいか
臨場感や刺激に欠けるというか
探偵小説にしては、ほや~んとした印象です。
そこが古典の良さと思うべきかな。
探偵の流儀としてはミス・マープルのような安楽椅子型のようです。
足で稼いで手がかりを探すのではなく
状況を聞いて頭で推理する、人間心理に長けた老成タイプ。
この本を読んでてふと思ったのは
娯楽小説と文学の違い。
「ちくま日本文学全集文庫」の収録作家は
昭和~明治の小説、純文学、評論、児童文学、詩歌など
各種とりまじっています。
気合い入れて読まなきゃいけない種類の方が多いのですが
珍しく娯楽小説になると肩の力が抜けて楽に読めるんです。
純文学だとそうはいかない。
評論だともっと大変で、趣味(楽しみ)で読んでるというより
仕事になっちゃう。
この辺りの違いを分析すると
どういうことになるのかな。