仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「羽生善治 闘う頭脳」           (文春文庫)

将棋の羽生善治7~1冠 についての文章を集めた一冊

対談、インタビュー、ルポルタージュなど、さまざまな立場の人から見た
羽生善治像が読み取れます。 




藤井四段の活躍により将棋への興味が高まっています。
羽生フィーバー以来の将棋熱です。

藤井君については、学生のうちは対局以外の報道・露出を求めることは
控えるべきと思います。
まだ義務教育中なのですから。

人間的にも興味深い人物に思えますので
成人後に、彼の語る言葉を聞いてみたいものです。

今、気になるのは高校への進学問題です。
「お母さんは進学を望んでいるが、本人は迷っている」的な文章を
ネットで見ました。

お母さんとしてはそうだろうなあと思います。
子供の人生の選択についてはリスクヘッジを優先するのが母親というもの。
私も高校は行っておいたらと思うなあ。

将棋の向上において16~18歳という時期がどのくらい重要なのかは知らないのですが、
棋士を職業とすることは決定だからこそ、一般社会で過ごす最後の経験をしておいた
方がいいと思います。
彼自身の人生のために。

まあ、人間がしっかりしてそうだから
どういう選択をしても大丈夫そうですが。





今、将棋への関心が高まった方にお勧めしたいのは
三十年も、第一人者として将棋界を牽引してきた大人物。
実に興味深いです。

羽生フィーバーの頃は、好みの男性を挙げると
羽生さんの名前がありました
この本を読んだら、その思いを新たにしました。

「将棋が強い」ということは当たり前なので
新たな感銘はなかったのですが
棋界の第一人者としての姿勢に敬意を表します。



「羽生以前・羽生以後」という慣用句が棋界にあるそうです。
将棋のプレイスタイルについてでもありますが、
慣習や棋士の人間関係についても大きく変化があったそうです。

文中に「自分が勝つことよりも将棋界全体のことを重視している」という
行があります。
自分個人の利害のためではなく、将棋界全体のために自分はどうあるべきか
という信念のもと、行動されているとのこと。
それでも、自分の将棋もめっちゃ強いのがすごい。

女優の畠田理恵さんと結婚された時には
話し合いを重ねて
仕事を辞めて、自分を支えて欲しいと伝えたそうです。


また「将棋とは何ぞや」という真理を追究する
求道者的面もあるとのこと。




一プレイヤーの強さの秘訣にとどまらない
含蓄の深い一冊です。