「リトルガーデンのしあわせ」 前田まゆみ [筑摩書房]
草花をテーマに、イラスト・文章をかく仕事をしている著者が
趣味のガーデニングについて書いたエッセイです。
園芸の専門書ではありません。
ご専門の草花のイラストがふんだんに描かれていて
かわいい本です。
草花に興味をもったきっかけ、園芸をはじめたころのいきさつから
現在、育てている庭に至るまでの園芸生活を
自分の人生行路にからめて書いています。
育てる植物も増えていきます。
園芸部を始めたばかりの私には興味津々な内容で
役立つ知識もちりばめられています。
かといって専門書ではないのでお説教くささはなく、
ふつー(よりややズボラ?)の女の人が試行錯誤している様子は親近感が持てます。
市民農園における人間模様では、
健全でキヨラカというイメージの園芸の場でも
覆い隠すことのできない「人間クササ」を語っていて
クスリとさせられました。
園芸を語りながら、自分の心の中を浮き彫りにしていくような、
かわいい・ステキだけで終わらない深みのある内容でした。
今、私は園芸部がすごく楽しくて
鉢植えちゃんたちをどんどん増やしたくて仕方がありません。
それはどうしてなのか、ヒントをもらえる本でした。
やっぱり
本は出会いの場なんだな~
としみじみ思えた一冊でした
特に印象に残った文章です。
市民農園を借りたときも、庭のある今の仕事場に引っ越したときも、同じような気持ちがした。
半分ワクワクしながらも、どこかで、私はほんとうに、この世話をやっていけるんだろうか、
と不安も感じているという気持ちだ。