「すべては尊天にまします」 信楽貞雄 [くらま山業書]
これは京都の鞍馬寺で手に入れた本です。
本屋さんには置いてないと思います
「源氏物語」で、源氏が初めて紫の上と出会った北山は
鞍馬山だと想定されているそうです。
私は特別信仰心は持っていませんが、
昔から寺社仏閣が好きで、年の割にはたくさんお参りしていると思います。
その中でも、何か特別な場所であるという空気が感じられたのは
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鞍馬山の教えをわかりやすく説いた内容です。
鞍馬山で説いている教えの核心は、
「すべては尊天にてまします」
というお唱えです。「南無妙法蓮華教」とか「南無阿弥陀仏」とかよそさんでは言いますが、
同様に「すべては尊天にでまします」というお唱えが、鞍馬山の原点なのです。それを中心にして、
いろいろな真理が波及していきます。
すべては尊天である、「すべて」と「尊天」が同じであるということです。「すべて」とは何もかも
ひっくるめて全部です。私たちが目で見て、見えているもの-森羅万象といいますが、生物も
無生物も、有情も非情もひっくるめて。
さまざまな角度から、わかりやすく整理されたお話が展開されます。
科学技術や文明、現代社会の様相など現実に即した説明がなされます。
大上段にかまえて「世俗」を切り捨てるような姿勢ではありません。
お話自体はとてもわかりやすく親切なのですが、内容が高度なので
「説かれていることはこれだ」とはっきり言い切れませんが、
お話の内容も深遠で感銘を受けるのですが、
それを説いておられる師のお人柄もよく伝わってきました。
知力にも優れた偉大なお方だろうと思います。
歴史と伝統を持つ場所に立つとはすごいことです。
やっぱり宗教には人の心を楽にする力があるんだなあと思いました。