「秘密の花園」 バーネット [イギリス・アメリカ]
作者は「小公子」「小公女」で有名な児童文学作家です。
主人公:メアリはイギリス人。軍人の父についてインドで暮らしていた。
母親は遊ぶことに忙しくてメアリにはかまわず、インド人の召し使いに世話をされていた。
わがままで傲慢な子どもに育ったメアリが6歳の時、コレラが流行して両親が亡くなってしまった。
メアリはイギリス・ヨークシャーのムーアに住む叔父にひきとられることになった。
ムーアとは、広く続く荒れ地のことです。イギリスの文学には時々登場します。
「ムーアで育つ植物といえば、ヒースとハリエニシダくらいなものだし、見かける生き物といえば、
野生のボニーとヒツジくらいなものね」
引き取ってくれたおじさんは、人嫌いで旅行に出てばかりです。
メアリはこの屋敷でも召し使いたちとだけ接する生活が続きます。
しかし、メイドのマーサは気立てのよい田舎娘で、インドの乳母のように
メアリにかしづいてはくれません。服を着せてくれるのを待っているメアリに
「自分のことは自分でできるようになった方がいい」とずけずけいいます。
メアリはすることがないので、毎日外にでて広い庭を歩きまわります。
不健康だったメアリの顔色が良くなり、食欲も出てきました。
この屋敷には、立ち入り禁止の秘密の庭があります。
メアリはある日その庭の鍵を見つけ、そこに入ってみたのでした・・・。
私がこの物語を好きな理由は、
メアリがちっとも良い子ではないところです。
児童文学の主人公は優等生の良い子であることが多く、ちょっと退屈するのですが
メアリはわがままで言いたいことをはっきりいいます。
いとこのコリンぼっちゃんのヒステリーをしかりつけるところなどは痛快です。
それから庭やムーアの美しさが魅力です。
風景が美しく描写されていて、うっとりします。
秘密の花園っていう響きもすてきですよね・・・
マーサの弟ディコンも加わって、荒れていた秘密の庭を再生させるために働きます。
働いた後おなかぺこぺこになって、もってきたパンやミルクを食べるシーンは
すっごくおいしそうで、よだれがでそうになります。