仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「ゼロの焦点」 松本清張

「点と線」に並ぶ代表作
読み始めたら止められなくて、一気に読み終えてしまいました。
 
 主人公禎子(テイコ)は鵜原憲一と結婚した。憲一はA広告社の金沢出張所に勤務していたが、
 結婚を機に東京に戻ってくることになっていた。新婚旅行後、憲一は最後の引継ぎをするために
 金沢へ行き、そして二度と帰ってはこなかった。
 禎子は夫を探すために金沢へ向かった。
 
 
終戦から10年ほど経った頃の話で当時の日本の社会状況が、謎と密接に結びついています。
それをふまえないと謎解きができないのが、社会派たる所以(ユエン)といえるでしょう。
現代とは生活習慣や常識も違うので、その辺りのズレは頭の中で修正させつつ読みました。
 
新婚まもない妻の禎子は夫のことをほとんど知らず、失踪した夫の跡をたどりながら
その実像をつかんでいきます。
こういう構図は、現代ではもはやありえないですよね。
昔の女性ってすごい。
 
 
 
禎子は夫を探す途中で北陸の断崖に立ち、北の海を眺めます。
その時、外国の詩の一節を思い出します。
文章全体としてはあっさりしているが、一部に趣向がある
というのが清張の特徴でしょうか?
 
物語は、その一節を繰り返すことで終わります。
   In her tomb by the sounding sea!