「たそがれ清兵衛」 藤沢周平
時代小説の連作短編集。
「たそがれ清兵衛」「祝い人(ホイト)助八」「うらなり与右衛門」「ごますり陣内」など8編が収録。
主人公は、さえない風采で日頃周囲からバカにされているような下級武士。だが、実は剣の達人。
とある事件が起こり、秘めた実力をいかしてめざましい活躍をするというシリーズ。
足して割ったようなストーリーです。
どの作品も、主人公のダメさ加減を描写する所から始まります。
といっても不快な人物ではなく、どことなく愛嬌があったりします。
それから事が起こり、剣の名手として主人公の名が上がり、任務を命ぜられます。
日頃ぼさっとしている彼であっても、その時だけは鮮やかな腕を見せ、使命を果たします。
その後、名を挙げて出世し尊敬される人物に変わるということはなく
大体元の生活に戻っていきます。
そこが良いところなのかな、と思いました。
日頃評価されない男が剣をふるって活躍することで、カタルシスを感じるという
物語なのかなと思いました。
男性って、やっぱり物理的に「強い」ということに最も価値を置くものなんですね。