仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「偽史日本伝」 清水義範

日本史のエピソードをパロディ化した短編集。14編収録。
 
邪馬台国大化の改新源義経種子島(鉄砲)、徳川吉宗、ええじゃないか、明治維新
などがテーマになっています。
 
日本史がお好きな方は楽しめると思います。
ただし、「歴史をこんなふざけた話にするとは」と思われるような方にはお勧めいたしません。
 
 
 
 
SF的な荒唐無稽な話に見えますが、じつは 
政党や政治家、大企業、国家を厳しく風刺した、ブラックジョークの利いた一作です。
 
 
 「日本一の頑固親父」
 
「神皇正統紀」という書を書いた北畠親房という人物は、名前しか知りませんでした。
この書が日本の歴史において実は重大な影響を及ぼしていたとはびっくりです。
勉強になりました。
 
 
 
 「転がらぬ男」
 
秀吉家康をどんな目で見ていたのか。
今まで読んだことがある歴史小説とは少し違う角度で描いていて、おもしろかったです。
 
 
 「人殺し将軍」
 
第7代尾張藩徳川宗春は、8代将軍吉宗のころの人物です。
名古屋の方には有名な人物なのでしょうか。
 
二人の君主は非常に対照的な人物だったそうです。
その辺りの事情をブラックなムードで語っています。
 
現在の名古屋の土地柄は、宗春の治世からの流れのようです。
名古屋、それから大阪は日本じゃないんじゃないかと思うくらい
文化が違う気がしますが、
徳川幕府の権威が行き渡ってなかった(影響が少ない)ということなのでしょうか。
 
 
 
 「どうにでもせい」
 
毛利敬親は幕末の防長(長州)の藩主です。
幕末の長州といえば吉田松陰を始め、明治維新に活躍した人材を輩出しています。
 
山口県に数年住んでいたこともあり、吉田松陰は尊敬する人物の一人です。
この話の中で長州藩のカラーが語られていますが、現在の山口県においても
その気風は消え去ってはいないような気がします。
(萩高校の校長室には吉田松陰銅像がありました。)
 
松下村塾という3年足らずの小さな私塾が、多数の人材を輩出したことは
教育学的に興味深いと思い、本を読んでみましたが
その秘密は、松陰の個人的な人間的魅力によるものだそうで、
現代には応用できないですね。