仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

「銀河英雄伝説」 田中芳樹

1980年代に発行され、爆発的なヒット作となりロングセラーを続ける、スペースオペラ
愛称は「銀英伝 ギンエイデン」。 
設定は未来、人類は宇宙に進出している。全宇宙が二大勢力に分かれ、対立し戦争が続いている。
SFというより歴史小説のようなスタイルの作品。
 
久しぶりに手にとってみたら、ミョ~に気恥ずかしかったです
押入の整理をしてたら、昔ファンだったアイドルのスクラップブックが出てきた、みたいな
当時のおたく少女たちのバイブルだったシリーズで、私もどっぷりはまっておりました。
授業の合間に読みふけっていて、ヤンさんが死んじゃった(所まで読んだ)後が体育の授業で、
時間中ずっと友だちに「ヤンさんが死んじゃったよ~」とぐずっていたなあ・・・。
 
 
イケメン・キャラ オンパレードの華やかなストーリーです
銀河帝国自由惑星同盟という二大陣営。
同盟側には、ヤン・ウェンリーユリアン・ミンツ、ワルター・フォン・シェーンコップ、オリビエ・ポプランなど。
 
キャラクターが多すぎてとても書き切れません
しかも、それがごろごろ死んでいく。何しろ主人公が二人とも(ラインハルト、ヤン)が死んじゃいますから。
作者には「皆殺しの田中」というあだ名がついていたほどです。
 
 
修飾の多い、華麗な文章がこの作者の特徴です。
  ウォルフガング・ミッターマイヤー上級大将はちょうど三〇歳、おさまりの悪い蜂蜜色の髪と、活力に富んだグ レーの瞳の所有者である。どちらかといえば小柄な身体は、体操選手のように引き締まって均整がとれており、 俊敏そのものといった印象を他人に与える。
  オスカー・フォン・ロイエンタール上級大将は三一歳、髪は黒に近いダークブラウンで、貴公子的な美貌と長  身を有している。だが、何よりも強烈な印象を与えるのは、黒い右目と青い左目の組みあわせ--金銀妖瞳(ヘ テロクロミア)であろう。 
 
英伝信者の少女は、特に信奉する相手(ファン)を決めていたものです。
正統派美形のラインハルト、ロイエンタールなどが人気上位だったと思います。
私は、同盟のシェーンコップというキザな女たらしのひねたおじさんのファンでした。
若い頃から偏った趣味を持っていたんだなあ・・・。
 
 
 
銀河帝国は君主独裁制自由惑星同盟は共和制という異なる政治体制を持った
二つの国家が抗争を続けているという構図でした。
政治体制の違いの意味、思想や主義について折にふれて言及しています。
歴史小説という趣向の文章なので、歴史観について語ることも多かったです。
 
キャラクターの魅力やストーリーのダイナミックさに加えて、後学のためになるような
真面目な長所も持ち合わせている優れた小説です。