「茶道具が語る年中行事」 目片宗弘 [淡交社]
本の表紙
副題は ~取り合わせの知恵十二ヶ月~
お茶室の飾り付け(掛け軸、お花など)やお道具(茶碗、お釜、茶杓など)は
季節や会によって変わります。
どのような組みあわせにするかが主人の力量の見せ所で
また、それを理解できるかでお客の教養がわかります。
なかなかに難しいことですが、それを何気なく
さらっとしてみせる所が茶人の道といえましょう(笑)
この本では、月ごとに茶室の支度をひとそろいずつととのえています。
一月から十二月までの十二章にまとめ、写真を載せ説明を述べています。
お茶が好きな方なら、写真を眺めているだけで楽しめます。
説明もとてもくわしくて勉強になります。
まずその月にちなんだ古歌が紹介され、季節感を醸し出しています。
お道具の説明は、名前や種類だけでなく、なぜその月に用いるのかという
由来も話してくれています。
その背景となる故事や行事まで載っていたりして、至れり尽くせりです。
茶道は総合芸術と呼ばれ、書道、香道、和歌、古典文学、陶芸、工芸、華道などなど
実に幅広い教養が必要とされます。
茶席での会話は、このような教養をふまえた上でなされます。(本来は)
お客がご亭主(お茶をたててくれた人)に「このお茶碗(の名前や由来)は?」などと尋ね、
亭主はさらさらっとそれに答え、お客はさらに気の利いた応答をしなきゃいけないんですね~。
まあ、一般人にはそんなの無理ですけど
でも、ちょっとくらいはかっこつけたいと思うので
そのための参考書として、この本はとても便利です。
幅広い古典教養を一から勉強する訳にもいきませんので
お茶席用にまとまった教養書として大変役立ちます。