「オスマン帝国」 鈴木董 (講談社現代新書)
オスマントルコ帝国を支えた政治体制・組織の仕組みを
わかりやすく説いています。
最初に序章があります。
「なぜ、この本を書いたのか」という所信表明のような内容です。
筆者の思いが込められているなと思いました。
「オスマントルコは君主専制の独裁国」といった悪いイメージが一般的だが、
それはキリスト教国の西欧人が作り出した誤ったイメージである。
その誤解を解き、正しい理解をしてほしい。
専門家は自分の専攻分野を愛しているもので
この本からもその思いが伝わってきました。
私がイスラムに興味を持ったきっかけは
題名の通り、旅行記です。
日本人にはなじみのないイスラム諸国を旅した記録です。
作中で筆者は
「イスラムに持っていたイメージとは西欧人から見た
一方的なものだったのだ」というようなことを述べます。
国際化を目指すのであれば
イスラムのことを知らなければならないと
初めて思いました。
オスマン帝国は六百数十年続いたそうです。
最盛期は古代ローマ帝国に迫る広大な領土を持っていました。
何でも長い期間続くものには理由があるもので
日本の江戸幕府も長期政権維持できただけの仕組みが
いろいろありました。
トルコの人材登用方式には感服しました。
全世界の歴史を振り返っても
これほど合理的な組織形態はないのでは
と思ったくらいです。
現代の組織造りにおいても参考になりそう。
歴史文化を学ぶだけでなく
政治・組織論としても興味深い書かと思います。
それから全然別方向から、トルコにさらに興味がわきました。
イケメン帝王のスレイマン一世です。
篠原千絵氏のマンガ「夢の雫、黄金の鳥籠」は
スレイマンの寵姫ヒュッレムが主人公です。
スレイマンは金髪ロングの美青年で、
いかにも漫画的なキャラ設定だと思ってたんですが、
実際に「歴代で屈指の美男、色白、眉目秀麗」だったそうです。
それから現イランの15世紀末の指導者シャー・イスマーイルは
「あまりにも美しく、邪悪なものを感じさせるほど」の美少年だったとのこと。
またこの本とは関係ありませんが
現代トルコ共和国 建国の父 ムスタファ・ケマル・アタテュルクは
フェロモン系の美男として有名です。