仁美のヒトミ

趣味(読書、芸術鑑賞)の記録を主に、日々の雑感などをつづります。

‘大浮世絵展‘   江戸東京博物館(両国)

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1月19日(日)まで開催

副題は「歌麿写楽北斎、広重、国芳 夢の競演」

 

喜多川歌麿東洲斎写楽葛飾北斎歌川広重歌川国芳という

浮世絵の代表的絵師の作品展です。

 

それぞれの作品を同数にするために

各絵師の代表的なジャンルの代表作を中心に展示しているそうです。

だからイメージ通りの作品を見られることと思います。

 

名画揃いで見ごたえあるんですけど

お客さんが多くて大変でした。

小さい絵なので、目の前に立たないとみられないので。

みなさん、流れながら見てくださーい(>_<)

 

 

好きな浮世絵師は一番=広重、二番=北斎という感じですが

代表作が並んでいるだけに、見たことある絵が多かったので

そちらは流して他の絵師をじっくり見ました。

 

 

国芳

この五人の中では知名度低め、

作品もいまいちメジャーじゃないなあと思ったけど

よく見たらモダンで現代的と言えるかも。

構図とか色彩とか題材とか。

現代のセンスに合うのかもしれないです。

 

 

写楽

普遍的ではない、と思いました。

 

短期間だけ活動した謎の絵師として有名です。

当時の歌舞伎役者の似顔絵を描き、

役者の内面を誇張した独特の表現が名高いです。

 

つまりその役者を知らないと

絵の価値も本当には

理解できないんですよね。

同時代でないと無理。

 

美しくもなく、癒されもせず、

エンターテイメントではないなあ。

 

 

歌麿

今回、もっとも発見がありました。

 

今まで興味がなかったのは

浮世絵の中でも一番俗っぽいジャンルだと思っていたから。

歌麿美人画が有名で

ステレオタイプな女性の絵を描いているだけと思っていました。

しかし、それだけではなかった。

 

一番感銘を受けた絵は「北国五色墨」の「てっぽう」

これは吉原遊郭の遊女たちの似顔絵 五連作なのですが

画期的なのは最高位の花魁だけではなく、最底辺の遊女まで描いたことだそうです。

 

遊郭を描くといえば、最高位のきらびやかな姿がお決まりだった時代に

最底辺の女のすさんだ表情を描いててます。

階級社会で、女性は類型的にしか描かれない江戸時代にすごいです。

 

絵師にそこまでの意識があったかはわかりませんが

身分制度を考えさせる社会的な主題、

もしくは個人の自我という近代的な主題を表現しています。

 

他には「婦女人相十品」「歌撰恋之部」などが個人としての女性の内面を

追求しているシリーズのようです。

 

 

 

見たばかりの作品について、なぜこんなに知ったようなことを述べられるかというと

この館には図書室があり、開催中の展覧会の特集コーナーがあったからなんですね。

無料で利用できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは7階の日本料理店のインテリア。

展覧会の図録も置いてあって、よかったです。

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この館の問題点としては

建物の構造が複雑なことです。

 

入り口・チケット売り場が1階と3階にあり、

特別展と平常展は別の階で

移動の導線がわかりにくいこと。

 

初めての人は必ず迷うと思います。